
絶滅の危機に瀕していた「アマミノクロウサギ」が、ここ20年で最大17倍も激増!2003年には2,000〜4,800頭だった個体数が、2021年には1万〜3万9,000頭にまで回復しました。
「生きた化石」とも呼ばれるこの原始的なウサギが、なぜここまで劇的に増えたのか?環境省の保護活動、地域住民の努力、そして奇跡の「マングース根絶」の物語を、2026年最新情報でお届けします!
アマミノクロウサギとは?【生きた化石】

基本情報
学名:Pentalagus furnessi
分類:哺乳綱兎形目ウサギ科アマミノクロウサギ属
別名:奄美黒兎
生息地:奄美大島と徳之島のみ(日本固有種)
体長:41.8〜51cm
尾長:1.1〜3.5cm
体重:1.3〜2.7kg
特徴:全身が黒や暗褐色の長い体毛で覆われ、耳が短い
指定:
- 国の特別天然記念物(1963年)
- 環境省レッドリスト:絶滅危惧IB類(EN)
- 種の保存法:国内希少野生動植物種
500万年前から姿を変えていない!
アマミノクロウサギは、なんと約500万年前〜300万年前から存在していたという説があるほど、古くから姿を変えることなく生きている原始的な動物!
ウサギの古い原種の特徴を残しており、「生きた化石」とも呼ばれています。
一族一種の貴重な存在
アマミノクロウサギは、アマミノクロウサギ属唯一の種。つまり「一族一種」という極めて貴重な存在です。
奄美群島に本種のような原始的形態を残した遺存種が分布する理由として、中新世にアジア大陸に生息していたアマミノクロウサギ(の祖先)が、地殻の変動により島嶼に隔離され、その後ノウサギ属が侵入しなかったためと考えられています。
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アマミノクロウサギの生息地・繁殖地
奄美大島と徳之島のみ!
アマミノクロウサギが生息しているのは、奄美大島と徳之島の2つの島だけ。
世界中でこの2つの島にしか存在しない、極めて貴重な日本固有種です!
奄美大島の生息地
推定生息数:1万24〜3万4,427頭(2021年時点)
分布域:奄美大島の約47%(334.7平方キロメートル)
主な生息エリア:
- 湯湾岳周辺
- 奄美市名瀬近郊
- 大和村
- 宇検村
- 瀬戸内町
山地や海岸の斜面にある、カシやスダジイからなる常緑広葉樹林や二次林に生息しています。
徳之島の生息地
推定生息数:1,525〜4,735頭(2021年時点)
分布域:徳之島の約13%(33平方キロメートル)
2003年の調査では100〜200頭しかいなかったのが、2021年には最大で約24倍にまで激増!
好む環境
高齢樹林の内部や林縁に伐採跡、二次林、沢などの疎開地が多い環境を好みます。
夜行性で、昼間は斜面に掘った巣穴や樹洞、岩の隙間を拡張した洞で休んでいます。
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アマミノクロウサギが激増した3つの理由
理由①:マングースの駆除・根絶【最大の要因】
1979年 悲劇の始まり
ハブ退治を目的に、沖縄島からわずか30頭のフイリマングースが奄美大島に持ち込まれました。
しかし当初の想定とは異なり、マングースはハブではなく、アマミノクロウサギやケナガネズミなどの固有種を捕食!
マングースはピーク時には1万頭にまで増殖し、アマミノクロウサギは絶滅の危機に瀕しました。
2000年 マングース駆除開始
環境省は2000年に本格的なマングース駆除に着手。**30人の「奄美マングースバスターズ」**を結成しました。
駆除方法
- わな(最大1,300基を同時設置)
- マングース探索犬とハンドラー
- 自動撮影カメラによるモニタリング
2024年9月3日 マングース根絶宣言!
地道な駆除の結果、2018年以降マングースの目撃がゼロに。2024年9月3日、ついに奄美大島からのマングース根絶が宣言されました!
1993年から2018年までに駆除されたマングース:32,647頭
これだけ大きな島で外来種の根絶に成功したのは、世界的な快挙です!
マングース駆除の成果
マングースの駆除により、アマミノクロウサギだけでなく、以下の在来種も回復!
- ケナガネズミ
- アマミトゲネズミ
- アマミイシカワガエル
- オットンガエル
- アマミハナサキガエル
理由②:ノネコ(野生化した猫)対策
マングースを駆除しても、今度は**ノネコ(野生化した猫)**がアマミノクロウサギを捕食する問題が浮上。
奄美大島:2018年度からノネコ対策開始
徳之島:2014年度からノネコ対策開始
対策内容
- ノネコの捕獲
- ペットの適正飼養の普及啓発
- 飼い猫の登録制度
徳之島では、マングースがいなかったにも関わらず2003年に100〜200頭しかいなかったアマミノクロウサギが、ノネコ対策により2021年には1,525〜4,735頭にまで激増しました!
理由③:森林の大規模伐採の減少
1950年代以降、パルプ材目的の森林伐採やリュウキュウマツの植林により、アマミノクロウサギの生息地が破壊・分断されていました。
しかし近年、森林の大規模伐採が減少し、森林が回復。これもアマミノクロウサギの個体数増加に貢献しています。
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20年で最大17倍の激増!個体数の推移
2003年調査
- 奄美大島:2,000〜4,800頭
- 徳之島:100〜200頭
- 合計:2,100〜5,000頭
2021年調査(最新)
- 奄美大島:1万24〜3万4,427頭
- 徳之島:1,525〜4,735頭
- 合計:1万1,549〜3万9,162頭
最大値で比較すると
- 奄美大島:約7倍増加
- 徳之島:約24倍増加!
- 合計:約8倍増加
特に徳之島での回復が顕著で、ノネコ対策の効果が如実に表れています!
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アマミノクロウサギの生態
夜行性で穴掘りが得意
アマミノクロウサギは夜行性。昼間は斜面に掘った巣穴や樹洞、岩の隙間で休み、夜になると活動を開始します。
指には爪が発達しており、穴を掘るのに適した体をしています。
繁殖は年2回、1回に1頭だけ
一般的なウサギは多頭出産で知られていますが、アマミノクロウサギは年2回(春と秋)の繁殖で、1回に1頭しか産みません。
このため、個体数を急激に増やすことが難しく、マングースによって激減した個体数を回復させるのに長い年月を必要としました。
性成熟に5年かかる
他の本土や大陸に生息する近縁種が1年以内で成熟を迎えるのに対し、アマミノクロウサギは約5年かけて性成熟します。
これは、外敵が少ない環境に適応しているためと考えられています。
単独行動だが巣穴は共有
基本的に単独で生活しますが、野生下および飼育下でも一つの巣穴を複数個体が同時に利用した例があります。
複数の鳴き声を発したり、後肢で地面を叩いたりすることから、個体間でコミュニケーションを行うと考えられています。
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新たな課題:ロードキル(交通事故)
過去最多の交通事故死
アマミノクロウサギの個体数が回復した一方で、新たな問題が浮上しています。それが**ロードキル(交通事故)**です。
2022年9月末時点:89頭が事故死(過去最多だった2021年通年の77頭を既に上回る)
環境省奄美群島国立公園管理事務所は「マングース駆除による個体数回復も背景にある」とコメントしていますが、現在アマミノクロウサギの一番の死因はロードキルとなっています。
ロードキル対策
環境省は以下の対策を進めています。
- 特に夜間の運転注意呼びかけ
- フェンス設置
- 速度規制
- 注意喚起看板の設置
ドライバーにも、夜間の運転時には十分な注意が求められます。
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アマミノクロウサギを観察するには?
ナイトツアーが人気!
アマミノクロウサギは夜行性のため、ナイトツアーで観察するのが一般的です。
奄美大島では、多くのツアー会社が「アマミノクロウサギナイトツアー」を開催しています。
遭遇確率が高い時期
**秋〜冬(10月〜2月)**が最も遭遇確率が高い!
繁殖期を迎える秋から冬にかけては活動が活発になり、夜行性のアマミノクロウサギに夜出会うことが多くなります。
冬は1年の内でも最も美しい星空を見れるシーズンでもあるので、奄美大島の夜を楽しむのにぴったりな時期です!
おすすめナイトツアー
①亜熱帯の森を楽しむ!奄美大島ジャングルナイトツアー
- 森の中を歩きながらアマミノクロウサギを探索
- ガイドの解説付き
②少人数制ナイトサファリツアー!4WDジープでアマミノクロウサギを探しに
- 4WDジープで林道をドライブ
- 遭遇確率が高い
③じっくり観察したい人向け☆近距離で観察できるナイトツアー
- じっくり観察したい方におすすめ
- 写真撮影もOK
④ナイトツアー専門ガイドがご案内!4WDジープで行くアマミノクロウサギコース
- ナイトツアー専門ガイド
- 高確率で遭遇可能
観察のルール
アマミノクロウサギを観察する際は、以下のルールを守りましょう。
①車から降りない
- 車から降りると驚いて逃げてしまいます
②大きな音を立てない
- 静かに観察しましょう
③接近しない
- 一定の距離を保ちましょう
④ライトを直接当てない
- 懐中電灯やカメラのフラッシュは控えめに
⑤ガイドの指示に従う
- ツアーガイドの指示をしっかり守りましょう
ルールを守ることで、より固有種と遭遇しやすくなり、結果としてツアー客の満足度も上がります!
2025年4月 新施設「くるぐる」オープン!
研究・飼育施設「くるぐる」
2025年4月20日、奄美大島の大和村に、アマミノクロウサギの研究・飼育施設**「くるぐる」**が開所しました!
環境省奄美野生生物保護センターに隣接した場所に設置され、以下の役割を担います。
①傷ついたアマミノクロウサギの治療
②野生復帰支援
③一般向けの展示
ただし、「くるぐる」ではケガの初期治療は行いません。野外でケガした個体を発見・保護した場合の連絡先は環境省奄美野生生物保護センター(0997-55-8620)です。
鹿児島市平川動物公園での飼育実績
日本では鹿児島市平川動物公園が、1984〜1989年に11頭の飼育下繁殖に成功しています。
世界自然遺産登録への道
2021年7月 世界自然遺産登録!
アマミノクロウサギの保護活動が成功し、個体数が増加したことが高く評価され、2021年7月26日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産に登録されました!
マングースバスターズの地道な努力、地域住民の協力、そしてアマミノクロウサギをはじめとする固有種の回復が、この快挙を実現させたのです。
絶滅危惧ランク引き下げの可能性
環境省はレッドリストのランクを現在の絶滅危惧IB類からII類以下に引き下げる目標を掲げており、生息数・分布域の増大によって「条件を満たしている」と評価しています。
近い将来、アマミノクロウサギが絶滅危惧種から外れる日が来るかもしれません!
まとめ:奇跡の回復と今後の課題
かつて絶滅の危機に瀕していたアマミノクロウサギ。しかし、環境省の保護増殖事業、マングースバスターズの献身的な活動、地域住民の協力により、20年で最大17倍もの劇的な回復を遂げました。
アマミノクロウサギ激増の3つの理由
✓ ①マングースの駆除・根絶(2024年9月に根絶宣言) ✓ ②ノネコ対策の実施(2014〜2018年開始) ✓ ③森林の大規模伐採の減少
個体数の推移
- 2003年:2,100〜5,000頭
- 2021年:1万1,549〜3万9,162頭
- 最大8倍の激増!(徳之島は24倍)
今後の課題
✓ ロードキル(交通事故)対策 ✓ 農業被害(タンカンの木の食害)への対応 ✓ ペットの適正飼養の啓発 ✓ 外来植物の駆除
観察するなら
✓ 奄美大島または徳之島のナイトツアー ✓ 秋〜冬(10月〜2月)が遭遇確率高 ✓ ルールを守って観察しよう
「生きた化石」アマミノクロウサギの奇跡の回復物語は、人間の努力と自然の力が合わさった時、絶滅危惧種でも復活できることを証明しています。
奄美大島・徳之島を訪れた際は、ぜひナイトツアーに参加して、この貴重なウサギに会いに行ってみてください!
アマミノクロウサギ関連施設
📍環境省奄美野生生物保護センター 住所:鹿児島県大島郡大和村思勝字腰ノ畑551 電話:0997-55-8620 開館時間:9:30〜16:30 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 入館料:無料
📍研究・飼育施設「くるぐる」 住所:環境省奄美野生生物保護センターに隣接 開所:2025年4月20日
📍鹿児島市平川動物公園 住所:鹿児島市平川町5669-1 電話:099-261-2326 開園時間:9:00〜17:00(入園は16:30まで) 休園日:12月29日〜1月1日 入園料:大人500円、小中学生100円
※情報は2026年1月時点のものです。最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。

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