ユニバーサル園芸社──観葉植物のレンタルから始まり、今や売上100億円超、従業員1000名規模の上場企業へと急成長した“緑の総合商社”です。
2025年12月放送の『カンブリア宮殿』でも特集される森坂拓実会長の経営哲学は、園芸ビジネスだけでなく多くの業界に示唆を与えます。
本記事では「なぜユニバーサル園芸社は成長したのか」を多角的に整理し、森坂会長の歩み、事業モデル、成長の仕組み、そして番組で注目すべきポイントまで丁寧に解説します。
私の分析と現状データを照らし合わせ、経営の肝を断定的に整理しました。
会社の概略—何をしている会社か(事業ポートフォリオ)
ユニバーサル園芸社は、もともと「レンタルグリーン(観葉植物の貸し出し)」事業から出発しましたが、
現在はレンタルグリーン、レンタルアートフラワー、屋上緑化・壁面緑化、造園、小売、生花、ギフト、イベント用ディスプレイなど“緑に関するほぼすべて”を手掛ける総合サービス企業です。
法人向けの定期メンテナンス型サービスを核に、空間プロデュース力を武器に付加価値の高いB2B事業を展開しています。これが同社の事業基盤です。
創業者・森坂拓実の原点 ― 20歳からの「飛び込み営業」と経営哲学
森坂拓実会長は20歳で小さなアパートから園芸業を始め、飛び込み営業で顧客を開拓してきた人物です。
コネや資本のない状態から積み上げた現場経験が、同社の“顧客に寄り添う”文化の原点になっています。
また、経営危機を経験した後に稲盛和夫氏の経営塾を受講したことが転機になり、経営体質の立て直しや倫理観の強化につながっています。
こうした創業期の泥臭い営業力と経営者教育の両輪が、後のスケールアップを支えました。
成長のコア① ― レンタルグリーンの「再発見」と市場拡大戦略
同社の成長は何よりもレンタルグリーン事業の成功に根ざしています。
オフィスや商業施設へ「定期的に植物を置き、メンテナンスする」サブスクリプション型のビジネスモデルは、安定した継続収入(リカーリング)を生み出します。
コロナ禍以降、“おうち時間”やオフィスの環境改善ニーズが高まり、市場は追い風になりましたが、
同社は以前から大手企業や商業施設への導入実績を持ち、
施工から保守までワンストップで提供できる強みがありました。これが競合に差をつけた第一の理由です。
成長のコア② ― “空間プロデュース”と高付加価値化
レンタルだけでなく、植物を使った空間プロデュース(動線を意識した配置、季節ディスプレイ、
ブランドイメージに合わせた植栽等)を強化し、
単なる“植物の貸出し業者”から“空間づくりのパートナー”へと立ち位置を変えました。
これにより客単価が上がり、単純な価格競争から脱却しています。企業イベントや大規模案件、
屋上緑化、病院・ホテルなど用途の広さを取り込めるのは、設計・施工・維持管理を自前で回せる体制があるからこそです。
成長のコア③ ― M&Aと小売・海外展開で多角化
同社はM&Aを使って事業領域を広げ、小売や生花、人工樹(アーティフィシャルプランツ)、
ギフトといったB2C領域へのチャネルも拡大してきました。
加えて海外展開やグローバル仕入れルートの確保により原価管理と商品差別化を進めています。
多角化によるリスク分散とシナジー創出が収益力向上に寄与しているのは明白です。
財務面での健全性 ― 上場と数字が示す強さ
ユニバーサル園芸社は2012年に上場(2012/04/26)を果たし、上場以降は組織的な資本政策で成長を加速させました。
連結売上は2024年6月期で約168億円、2025年6月期は約205億円へと増加しており、
営業利益・経常利益率も確保しています。上場の義務により財務の透明性を高めると同時に、
資金調達を成長投資(物流・人員・M&A)に振り向けることが可能になった点が成長を後押ししています。
現場力と人材戦略 ― 地方拠点・若手登用・社内文化の力学
成長企業に共通する要因として「現場力」があります。ユニバーサル園芸社は全国の拠点網とメンテナンス体制を構築し、工場的な物流・養生管理を整備しているため、大規模案件でも安定供給が可能です。
また平均年齢が若めで現場出身の幹部を登用する風土があり、現場知見が経営に反映されやすい。
加えて「顧客に寄り添う」価値観を徹底することでリピート率を高め、営業コストを抑えています。
これが高収益率につながっています。
『カンブリア宮殿』で注目すべきポイント(番組視聴ガイド)
12月18日放送の『カンブリア宮殿』は、森坂会長の創業ストーリー(6畳1間からのスタート)、稲盛経営塾での学び、転機となった危機対応策、
そして「植物の総合商社」を目指す今後のビジョンに焦点を当てる予定です。視聴者が注目すべき点は次の4つです。
- 現場にこだわる経営の実態—実際にどのようにメンテ体制を回しているか。
- 収益構造の裏側—レンタルの解約率、再契約率、顧客層別の収益性。
- 人材育成と社風—なぜ若手が活躍できる組織になったか。
- 未来戦略—海外展開やSDGs、宇宙進出のような長期ビジョン(報道で触れられている壮大な構想)への現実性。
これらをチェックすると、表面的な「観葉植物ビジネス」でない同社の深さが分かります。
強みの要約――「プロ化」「スケール化」「価値化」の三点に集約される理由
ここまで整理すると、ユニバーサル園芸社の成長理由は大きく三つに集約できます。
- プロ化:植物管理・空間設計・施工をワンストップで提供する専門性(=差別化)を築いた。
- スケール化:全国拠点・物流・人員を整備して大口顧客の受注を可能にした(上場→投資→成長の循環)。
- 価値化:単なる貸出業務を「空間プロデュース」や「ブランド演出」に昇華し、顧客の期待を越える提案で高い客単価とリピートを実現した。
見出し10:今後のリスクと注目点 ― 成長維持のために必要なこと
成長の継続にあたって留意すべきポイントもあります。
植物を扱う事業は季節変動や物流コストの変化、天候リスクに弱く、原価上昇は利益率を直撃します。
また人材確保・育成は運用の肝であり、拠点拡大ペースと品質維持の両立が課題です。
さらに、競合も参入しやすい分野ゆえにブランド力と顧客ロイヤルティの維持が重要になります。
番組で示される戦略がこれらの課題にどう応えるのか、そこが今後の注目点です。
まとめ(私の見立て)
ユニバーサル園芸社の強さは「植物」という素材自体の魅力を、ビジネスモデルと組織力で最大化した点にあります。
創業者の泥臭い現場志向、稲盛経営塾での学び、レンタルという高収益・高継続型ビジネスの早期確立、
空間プロデュースによる差別化、
そしてM&Aでの領域拡大――これらが複合的に作用して成長を実現しました。『カンブリア宮殿』はその核を可視化する好機です。
視聴後は「現場力」「サービス設計」「将来戦略」の三観点で番組内容を再読すると、ビジネスの本質がより鮮明に見えるはずです。
参考・主要出典(本文で引用した主な一次資料)
- 会社公式:事業紹介・会社概要(ユニバーサル園芸社)。ユニバーサル園芸社+1
- 『カンブリア宮殿』(テレビ東京 番組告知ページ)。テレ東・BSテレ東+1
- Tanabe Consulting(代表インタビュー記事:成長戦略の解説)。メディアサイト「TCG REVIEW」
- 東洋経済/四季報関連記事(成長戦略、M&A、業績動向)。四季報オンライン
- IPO・上場情報(上場日・基本データ)。みんかぶ
内部リンク候補(『カンブリア宮殿』視聴者向け)
「ユニバーサル園芸社の株主向けレポート(IR)

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