2017年公開のアニメ映画
『メアリと魔女の花』。
スタジオジブリ作品を数多く手がけてきた米林宏昌監督が、スタジオポノックとして初めて世に送り出した長編映画です。
美しい背景美術や王道ファンタジーの世界観が話題となりましたが、本作の完成度を語るうえで欠かせないのが、声優キャストの演技力です。
この記事では、『メアリと魔女の花』を支えた主要声優陣とその演技の見どころを中心に、作品の魅力を掘り下げていきます。
『メアリと魔女の花』とはどんな作品?
原作は、イギリスの作家メアリー・スチュアートによる児童文学
『The Little Broomstick(小さな魔法のほうき)』。
舞台は、人里離れた森の中。
赤毛の少女メアリが、不思議な花「夜間飛行」を見つけたことで、一夜限りの魔法の力を手に入れ、思いがけない冒険へと巻き込まれていきます。
物語の軸にあるのは、
「特別な力がなくても、自分としてどう生きるか」という普遍的なテーマです。
主人公メアリ役|杉咲花の等身大の演技
主人公メアリの声を担当したのは、杉咲花さん。
メアリは、
- 何をやってもうまくいかない
- 空回りしがちで不器用
- でも誰かの役に立ちたいと願っている
という、とても人間味のある少女です。
杉咲花さんの演技は、
感情を大げさに表現するのではなく、戸惑いや焦りを自然な声の揺らぎで伝えてくれます。
特に、物語後半で見せる恐怖と覚悟が入り混じった声には、
メアリの成長がしっかりと感じられ、観る側の心を引きつけます。
ピーター役|神木隆之介の安定感ある存在
メアリと行動を共にする少年ピーターを演じたのは、神木隆之介さん。
多くのアニメ作品で主演を務めてきた経験から、
声の表現に無理がなく、自然体で物語に溶け込んでいます。
ピーターは冷静で優しく、どこか影のある少年。
感情が先走りがちなメアリを支える役どころです。
神木さんの落ち着いた声質が、
物語全体に安心感を与え、作品のバランスを保っています。
マダム・マンブルチューク役|天海祐希の圧倒的存在感
魔法大学の学長マダム・マンブルチュークを演じたのは、天海祐希さん。
低く張りのある声が、
知的で威厳のある人物像を際立たせています。
善人なのか、それとも…?
その正体がはっきりしないキャラクターを、
声のトーンと間の取り方だけで表現している点は見事です。
登場シーンは多くありませんが、
作品の空気を一気に引き締める存在感があります。
博士役|小日向文世が表現する優しさと狂
もう一人の重要人物、博士(ドクター・デイ)を演じたのは小日向文世さん。
一見すると穏やかで親切。
しかし内側には強い執念を秘めたキャラクターです。
その二面性を、
声色を大きく変えることなく表現しているのが印象的で、
静かな怖さを感じさせます。
脇を固める実力派声優陣
本作では、脇役にも実力派が揃っています。
- リンゴ婆役:白石加代子
- フラナガン役:満島ひかり
- シャーロット役:大竹しのぶ
いずれも舞台や映像で培った表現力があり、
キャラクターに深みを与えています。
アニメ声優に偏らないキャスティングが、
作品全体のリアリティにつながっていると言えるでしょう。
声優の演技で評価が分かれる理由
一部では、
- ジブリ作品と比べると違和感がある
- セリフが現代的すぎる
といった声もあります。
しかしこれは、
子どもから大人まで幅広く楽しめる作品を目指した結果とも考えられます。
結果として、『メアリと魔女の花』は
**声の演技を含めて“現代向けのファンタジー”**として成立しています。
米林宏昌監督とスタジオポノックとは
『メアリと魔女の花』を語るうえで欠かせない存在が、
米林宏昌(よねばやし ひろまさ)監督と、彼が中心となって立ち上げた
スタジオポノックです。
ジブリ出身監督・米林宏昌の歩み
米林宏昌監督は、スタジオジブリ出身のアニメーション監督です。
もともとはアニメーターとしてジブリ作品に参加し、
- 『千と千尋の神隠し』
- 『ハウルの動く城』
- 『崖の上のポニョ』
などで原画・作画監督補佐を務め、確かな技術力を培ってきました。
監督として注目を集めたのが、2010年公開の
『借りぐらしのアリエッティ』。
繊細な背景美術と、静かな感情表現が高く評価され、
「ジブリの次世代を担う監督」として期待を集めました。
続く2014年の
**『思い出のマーニー』**では、内面の孤独や心の再生といったテーマを描き、
日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
スタジオポノック設立の背景
その後、米林監督はプロデューサーの西村義明氏とともに、
2015年にスタジオポノックを設立します。
「ポノック(Ponoc)」はクロアチア語で
**“真夜中”や“新しい一日の始まり”**を意味する言葉。
ジブリの流れを受け継ぎながらも、
新しい時代のアニメーションを生み出すという意志が込められています。
スタジオポノックは、
- 子どもにも大人にも届く物語
- 世界を意識した普遍的テーマ
- 日本アニメの手仕事の継承
を制作理念として掲げています。
『メアリと魔女の花』に込められた挑戦
『メアリと魔女の花』は、
スタジオポノックにとって初の長編劇場作品であり、
「ジブリ後」を強く意識された一本でもあります。
空を飛ぶ描写や自然表現にはジブリ的なDNAが感じられる一方で、
主人公メアリの性格やテンポ感は、より現代的です。
米林監督自身も、
「ジブリと同じことはできないし、するつもりもない」
と語っており、本作はスタジオポノックの“第一歩”として位置づけられています。
まとめ|声優の力が物語を支えている
『メアリと魔女の花』は、
- 杉咲花の等身大の主人公像
- 神木隆之介の安定感あるサポート
- 天海祐希・小日向文世の存在感
といった声優陣の演技によって、物語に確かな説得力が生まれています。
確かにジブリチックでは有るけど。スタジオポノックがジブリを意識させないほど、
オリジナリティーを確立するのはやはり時間が必要だし。米林監督のメインテーマでしょうね。
映像美だけでなく、
声に耳を傾けて観ることで、より深く楽しめる作品です。
お子さんお孫さんにぜひオススメ!
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